十八史略011巻一夏:夏后氏禹(1)

夏后氏禹

十八史略・原文

夏后氏禹姒姓。或曰、名文命。鯀之子、顓頊孫也。鯀湮洪水。舜擧禹代鯀。勞身焦思、居外十三年、過家門不入。陸行乘車、水行乘舩、泥行乘橇、山行乘檋。開九州、通九道、陂九澤、度九山、告厥成功。舜嘉之、使率百官行天下亊。舜崩、乃踐位。

十八史略・書き下し

夏后氏禹は姓なり。或いは曰く、名は文命と。鯀之子、顓頊の孫也。

鯀洪水をふさぐ。舜禹を挙げて鯀に代らしむ。身をつからし思いを焦がし、外に居ること十三年、家の門をよぎりて入ら不。陸を行くには車に乗り、水に行くには船に乗り、泥に行くには橇に乗り、山に行くには檋に乗る。

九州を開き、九道を通し、九沢につつみし、九山を度り、厥の成功を告ぐ。舜之を嘉し、百官を率いて天下の事を行わ使む。

舜崩じ、乃ち位を践む。

十八史略・現代語訳

夏后氏姓である。一説に、名は文命と言う。コンの子で、顓頊の孫である。

鯀が洪水を防ぎ止めようとした。効果が無かったので、舜は禹を登用して鯀に代わらせた。禹は体を磨りつぶし心を焦がし、家の外へ治水に出かけたまま十三年過ぎ、自宅の門を通り過ぎても入らなかった。陸を行くには車に乗り、水を行くには船に乗り、泥の上を行くにはそりに乗り、山を行くにはかんじきを履いた。

中国全土の九地方を開拓し、九本の道を通し、九つの川に堤防を築き、九つの山の高さを測り、治水事業の成功を報告した。舜は禹を褒め讃え、全ての官吏を指揮させ、天下の政治を取り行わせた。

舜が世を去ったので、王位を継いだ。

十八史略・訳注

夏后氏禹:古代の帝王。
禹

禹 金文 禹 小篆
(金文・殷代晩期/小篆)

禹とは、後足をふまえて尾をたらした、頭の大きい大とかげを描いた象形文字で、もと大とかげの姿をした黄河の水の精。からだをくねらせた竜神のこと。のち、それが儒家によって人間の聖王に転化された。

:舜の臣下。

鯀
(金文・西周中期)

鯀とは、「魚+系(つながり、仲間)」の会意文字で、魚の仲間に見たてた怪物をあらわす。もとは治水者ではなく、洪水そのものの象徴だったと考えられる。

橇:音キョウ。”かんじき”と”そり”の両義がある。

檋:音キョク。”かんじき”と、”長柄の真っ直ぐな車”の両義がある。

九州…九道…:ここでの九は、数の極限の象徴で、漠然と”多くの”を意味しているに過ぎない。

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