十八史略005巻一五帝:少昊金天氏・顓頊高陽氏・帝嚳高辛氏

少昊・顓頊・帝嚳

十八史略・原文

少昊金天氏名玄囂、黃帝之子也。亦曰靑陽。其立也、鳳鳥適至。以鳥紀官。

顓頊高陽氏昌意之子、黃帝孫也。代少昊而立。少昊之衰、九黎亂德、民神雜糅、不可方物。顓頊受之、乃命南正重司天、以屬神、火正黎司地、以屬民、使無相侵瀆。始作曆、以孟春爲元。

帝嚳高辛氏玄囂之子、黃帝曾孫也。生而神靈、自言其名。代顓頊而立。居於亳。

十八史略・書き下し

コウ金天氏、名は玄ゴウ、黄帝之子也。亦た青陽と曰う。其立つ也、鳳鳥たまたま至る。鳥を以て官を紀す。

センギョク高陽氏は昌意之子、黄帝の孫也。少昊に代わり而立つ。少昊之衰えるや、九黎徳を乱し、民神雑りまじり、物をくらぶる可から不。顓頊之を受け、乃ち南正の重に命じて天を司どらしめ、以て神をかしめ、火正の黎に地を司どらしめ、以て民を属かしめ、相い侵し瀆すを無から使む。始めて暦を作り、孟春を以て元と為す。

コク高辛氏は玄囂之子、黄帝の曽孫也。生れ而神霊あり、自ら其の名を言う。顓頊に代わり而立つ。亳於居る。

十八史略・現代語訳

コウ金天氏は、名を玄ゴウと言い、黄帝の子である。またの名を青陽と言う。王位に即くと、めでたい鳳凰が飛んできた。そこで官職に鳥の名を付けた。

センギョク高陽氏は、昌意の子で、黄帝の孫である。少昊に代って王位に即いた。少昊が衰えると、ほとんどの民の者が少昊のおきてに従わず、民と神霊が混じり合い溶け合って、物事のけじめやしまりが無くなってしまった。顓頊はこの状況を受け、そこで初めて南正の任にあった重に命じて天を担当させて神を所属させ、火正の任にあった黎に命じて地を担当させて民を所属させ、神と人とが互いに関わったりおとしめたりするのをなくさせた。また初めて暦を作り、春の始めを正月にした。

コク高辛氏は、玄囂の子で、黄帝の曽孫である。生れながらに優れた知恵があり、自分で自分の名を名乗った。顓頊に代わって王位に即いた。亳に住んだ。

十八史略・訳注

少昊金天氏:伝説上の古代の人物。
少昊金天氏

鳳鳥:鳳凰。正確には、オスが鳳、メスが凰。
鳳凰

顓頊高陽氏:伝説上の古代の人物。
顓頊 顓頊

昌意:無論伝説上の人物で、誰であるかは分からない。

九黎:黎の原義は浅黒いことであり、日焼けした一般民衆を指す。しかし漢字の通例で超多義語であり、ここでの意味も実は分からないと言うしかない。小林本は”九人の黎と名乗る諸侯”と解しているが、根拠は無い。

九は数字の9を意味するほかに、数の極大を意味し、”多い”こと。それに黎を加え、”ほとんどの民の者”と解した。

徳:定義しようのない困った語だが、もとは人や動物が持つ個別的な機能や能力を言った。しかし十八史略は元代の書であり、偉い人が持つ気品のようなものと解釈したはず。

神:中国での神は、自然界にあまねく存在する精霊と、特に優れた人間の亡霊を指す。

糅:音ジュウ。ねっとりとまじる。また、まじえる。あえる。

方:並べて比べる。原義は舫い船が並ぶさま。『論語』憲問篇「子貢人をたくらぶ」と同じ語法。

乃:同じ「すなわち」でも、”そこではじめて”・”そこでやっと”の意。

南正・火正:天文学に由来する官名だろうという想像以外、詳細は分からない。

帝嚳高辛氏:伝説上の古代の人物。
帝嚳高辛氏 帝嚳高辛氏

玄囂之子、黄帝曽孫也:少昊が黄帝の子であるなら、帝嚳は孫に当たり、記述が矛盾する。

神霊:非常にすぐれた不思議な知恵。

亳:殷の湯王の都の名でもある。今の河南省から山東省西部にかけての地にあったらしい。

十八史略・付記

記述の矛盾は、古来編者の曽先之のうっかりミスだと片付けられていたが、普通の頭があればこの間違いに気付かないとは思えない。どうせでっち上げなんだよと、曽先之が言っているような気がする。

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