十八史略001巻一太古:天皇・地皇・人皇・有巢氏・燧人氏

太古

十八史略・原文

天皇氏以木德王。歲起攝提。無爲而化。兄弟十二人、各一萬八千歲。地皇氏以火德王。兄弟十二人、各一萬八千歲。人皇氏兄弟九人、分長九州。凡一百五十世、合四萬五千六百年。人皇以後、有曰有巢氏。構木爲巢、食木實。至燧人氏、始鑽燧、敎人火食。在書契以前、年代國都不可攷。

十八史略・書き下し

天皇テンコウ氏、木徳モクトクを以て王たり。歳は摂提より起る。無為にしておしう。兄弟十二人、各々一万八千歳。地皇氏、火徳を以て王たり。兄弟十二人、各々一万八千歳。人皇氏、兄弟九人、分ちて九州に長たり。凡べて一百五十世、合せて四万五千六百年。人皇以後、有巣氏と曰う者有り。木に構えて巣をつくり、木の実をくらう。燧人氏に至りて、始めてひうちり、人に火食にたきを教う。書契もんじ以前に在りて、年代国都、かんがう可からず。

十八史略・現代語訳

天皇氏は、五行の筆頭である木の力で王となった。木星が東北の方向に位置する時を年始とした。何もしないで万民を教化した。兄弟は十二人あった。それぞれが一万八千歳の寿命だった。

地皇氏は、五行第二番の火の力で王となった。兄弟は十二人あった。それぞれが一万八千歳の寿命だった。

人皇氏には、兄弟が九人あった。中国全土を九つに分けた九州にそれぞれ配置して、その長とした。その治世は一百五十代、合せて四万五千六百年続いた。

人皇以後に、有巣氏という者が現れた。木の上に木組みを作って住まいを作り、木の実を食べた。

その後燧人氏の時代になって、初めてきりもみで火を起こし、人々に煮炊きして食べる事を教えた。

以上の人物については、文字以前の世の中の事だから、年代や国都がどこにあったかなどを、考える事が出来ない。

十八史略・訳注

天皇氏:『三才図会』より。
天皇氏

木徳:五行思想に基づく要素の力のうち、木の力。五行とは、万物の根源となる五つの要素。木・火・土・金(ゴン)・水のこと。五つの要素が互いに生み合う「相生」と、互いに滅ぼし合う「相剋」の関係がある。
五行
By Benoît Stella alias User:BenduKiwiOwn work, CC BY-SA 3.0, Link

徳:そのもの本来が持つ効能やその結果。

歳:木星。転じて一年。

摂提:寅の方角。東北に当たる。
十二支

化:人格や教育によって、接する人の心や生活ぶりをかえる。

地皇氏:『三才図会』より。
地皇氏

火徳:五行の順序のうち、互いを生み合う順序を相生といい、筆頭の木は燃えることで火を生む。

人皇氏:『三才図会』より。
人皇氏

九州:古代中国の、伝説上の行政区分。後世さらに細分化されて十二州となる。詳細は『欽定書経図説』十有二州図を参照。
『欽定書経図説』十有二州図

有巣氏:『三才図会』もさじを投げたのか、画像が無い。

構:原義は木組みを組んで構造物を作ること。

燧人氏:下記画像は出典不明。
燧人氏

鑽燧:鑽は金属製のキリで穴を開けること、燧は火を切り起こすこと。太古に金属器があったわけはないが、書き手の思念としてはいわゆる火打ち石ではなく、きりもみで火を起こすこと。

書契:文字。「契」は、小刀で彫りつけること。昔、骨や、木に彫りつけて記録したことから。

攷:左側の字(音コウ)は曲がりくねったかたち。攷はそれを音符とし、攴(動詞の記号)をそえた字で、曲がりくねりつつ奥までつきつめること。

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