十八史略009巻一五帝:帝舜有虞氏(1)

帝舜有虞氏

十八史略・原文

帝舜有虞氏姚姓。或曰、名重華。瞽瞍之子、顓頊六世孫也。父惑於後妻、愛少子象、常欲殺舜。舜盡孝悌之道、烝烝乂不格姦。畊歷山民皆讓畔、漁雷澤人皆讓居、陶河濱噐不苦窳。所居成聚、二年成邑、三年成都。堯聞之聰明、擧於畎畆、妻以二女曰娥黃女英、釐降于嬀汭。遂相堯攝政。放驩兜、流共工、殛鯀、竄三苗。擧才子八元八愷、命九官、咨十二牧。四海之内、咸戴舜功。

十八史略・書き下し

帝舜有虞氏は姚姓たり。或いは曰く、名は重華と。瞽瞍之子、顓頊六世の孫也。

父後妻於惑い、少子象を愛し、常に舜を殺さんと欲す。舜孝悌之道を尽し、烝烝として乂めてよこしまいたら不。

歴山にたがやさば民皆な畔を譲り、雷沢にすなどらば人皆な居るを譲り、河浜にすえつくらば器苦窳せ不。居る所むらを成し、二年にしてまちと成り、三年にして都と成る。

尭之の聡明を聞き、畎畝於り挙げて、二女の曰く娥黄女英を以てめあわさんとし、嬀汭おさめ降す。

遂に尭に相たりて政を摂る。驩兜を放ち、共工を流し、鯀をころし、三苗をながす。才子八元八愷を挙げ、九官を命じ、十二牧と咨る。四海之内、咸な舜の功を戴く。

十八史略・現代語訳

帝舜有虞氏は姚姓である。一説に、名はチョウ華と言う。ソウの子で、センギョクから六世の孫である。

父が後妻の色香に迷って、その子であるショウを愛し、いつも舜を殺そうと狙っていた。しかし舜は親孝行と年下らしい慎みの道を尽し、着実に人格を修養して間違いを起こさなかった。

歴山で耕すと人々はその感化で畦を譲り合うようになり、雷沢で漁をすると人々はその感化で漁場を譲るようになり、河岸で焼き物を焼くと土がその感化でゆがまず焼き上がった。住んだ所は人々が集まって村になり、二年でまちになり、三年で都会になった。

尭が舜の聡明さを聞いて、民間から拾い上げて、娥黄・女英という二人の娘をめあわそうとし、嫁入り道具を調えて嬀水の北のほとりに行かせた。

その結果尭の大臣となり、政事を代行した。悪党の驩兜を追放し、悪党の共工を流刑に処し、無能の鯀を死刑にし、従わない三族の苗氏を山奥に押し込めた。才能のある善良な者を十六人登用し、国政を分担する官僚を任命し、地方を統治する十二人の総督と相談した。世界を取り巻く四つの海の中にある全世界は、全て舜の業績のおかげを被った。

十八史略・訳注

帝舜有虞氏:伝説上の聖天子。
舜

瞽瞍:音コ・ソウ。舜の父。

顓頊:伝説上の聖天子。
顓頊

烝烝:=蒸蒸。進むさま。

乂:よけいな部分や悪いところを切り捨てて、形を整える。

歴山:中国の伝説上の聖天子、帝舜が耕作したという山の名。山東省・山西省その他の省にこの伝説の伝わる同名の山がある。

雷沢:沢の名。帝舜が漁をしたと伝えられる所。

苦窳:音ク・ユ。苦はいびつ。窳はゆがむ。器物が、出来が悪く、ごつごつして形もいびつなこと。

堯:古代の伝説上の聖天子。
堯

畎畝:音ケン・ポ。田のみぞと、うね。転じて民間。

娥黄女英:堯の娘。
娥黄 女英

釐降:音リ・コウ。釐は整える。天子が、娘を臣下の嫁にやること。降嫁。衣装・道具などをおさめととのえて嫁にやるの意。一説に、女の心をおさめて承諾させるの意。

嬀汭:音ギ・ゼイ。嬀は山西省にある川の名。汭は北のほとり。

驩兜:音カン・トウ。悪の神、または悪人と言われる。

共工:神の名。頭を不周山にぶつけて大洪水を引き起こした。

:帝堯の臣下で禹の父親。治水に当たったが九年かかっても効果が無かったという。

竄:人目につかない、へんぴな所におしこめる。

三苗:中国神話に登場する悪神、または中国の古代の伝説にみえる未開民族の名。今の湖南省・湖北省・江西省あたりにいたという。今の苗族の祖先か。

八元八愷:太古伝説時代の十六人の善良な才子のこと。「春秋左氏伝」文公一八年に「高陽氏の才子八人を八祥、高辛氏の才子八人を八元という」とある。

九官:=九工。中国古代、国務を行うため置かれた九人の大臣。のちの九卿にあたる。司空(総理)・后稷(農政をつかさどる)・司徒(教育をつかさどる)・士(刑罰をつかさどる)・共工(技術をつかさどる)・虞(山林沼沢をつかさどる)・秩宗(礼儀・祭祀をつかさどる)・典楽(音楽をつかさどる)・納言(天子と臣下や人民との間の意見の伝達をつかさどる)のこと。〔書経・舜典〕

十二牧:全国を十二州に分けた地方長官。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

関連記事(一部広告含む)